発達障害への理解を深める【5】ーチック症とは
発達障害と向き合う子どもたちが将来自立して幸せに生活できるように
癇癪(かんしゃく)、パニック、他害、自己否定、偏食・・・子どもたちのいわゆる「問題行動」は、発達障害による特性に起因しているのもあるのですが、周囲の人間の無理解や誤った対応によって、引き起こされる、あるいは、行動が強化されていく、というケースが多くあるのです。逆を言えば、周囲の人間が発達障害に対する正しい知識を持ち、個々に合った適切な配慮をしてあげることで、発達障害があるとしても、悩みを抱えたり、生きづらさを感じたりすることなく、日常生活を送ることが出来る、ということです。
とどのつまり、子どもと関わる周囲の人間の正しい理解が大事、ということで、「発達障害への理解を深める」というテーマでシリーズ化して書いています。
発達障害と向き合う親が、発達障害に関する正しい知識を知り、『将来子どもが自立し幸せに生活出来るようになる』ことを目指してサポートする、というポジティブなマインドを前提にした視点から、私なりに情報を集めております。
発達障害および各症状の定義については、厚生労働省作成のホームページから引用させていただき、掲載しています。リンクはページの一番下に記載します。
チック症とは
チックは、思わず起こってしまう素早い身体の動きや発声です。まばたきや咳払いなどの運動チックや音声チックが一時的に現れることは多くの子どもにあることで、そっと経過をみておいてよいものです。しかし、体質的にさまざまな運動チック、音声チックが1年以上にわたり強く持続し、日常生活に支障を来すほどになることもあり、その場合にはトゥレット症とよばれます。
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運動チックとは
突然に起こる素早い運動の繰り返しです。目をパチパチさせる、顔をクシャッとしかめる、首を振る、肩をすくめるなどが比較的よくみられ、時には全身をビクンとさせたり飛び跳ねたりすることもあります。
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音声チックとは
運動チックと同様の特徴をもつ発声です。コンコン咳をする、咳払い、鼻鳴らしなどが比較的よくみられ、時には奇声を発する、さらには不適切なことばを口走る(汚言症:コプロラリア)こともあります。
※このような運動や発声を行いたいと思っているわけではないのに行ってしまうというのがチックの特徴です。
治療や支援
まばたきをする、顔をしかめる(運動チック)や咳払いや舌打ち(音声チック)などのチックが一時的にあらわれることは多くの子どもにみられることです。そのため、特に指摘をせず、経過をみます。しかし、多彩な運動チックと音声チックが1年以上にわたり強く持続し、日常生活に支障を来すほどになることもあります(トゥレット症)。飛び上がる、自分の体や足を叩く、しゃがむ、おなかに力をいれる、単語をいうなどの複雑な動きや発声を伴こともあります。症状は典型的には10-15歳ぐらいに一番強くなりますが、成人になっても強い症状を継続することもあります。トゥレット症は、体質的なチックで、その症状を制御することはごく短時間しかできません。そのことをまず周囲の人が理解することが大切です。チックが現れそうな衝動が起こったときにチックと拮抗するような動きをする(ハビットリバーサル)や薬物療法が実施されます。トゥレット症に有効性が認められた薬は日本にはありませんが、統合失調症の薬などが有効であることが知られています。
支援のポイント
- チックは運動を調整する脳機能の特性が基盤にあり、親の育て方や本人の性格に問題があって起こるのではないので、親自身や本人のことを責めたりしてしまうことがないようにしてほしい。
- チックの変動性や経過の特徴を理解し、些細な変化で一喜一憂しない。専門家に指示を仰ぎつつ、長期的な目で見守る。
- チックをその子の特徴の一つとして周囲の人が受け入れ、理解してあげること。
- チックだけにとらわれないで、長所も含めた本人全体を理解し、自己肯定感を高めてあげること。
参考サイト 厚生労働省|知ることから始めようみんなのメンタルヘルス総合サイト
参考サイト 発達障害ナビポータル