発達障害の子どもに身につけてほしい「質問する」スキル
「質問出来る」は大事なスキル
話を聴いていて分からないことがあった時に、うまいタイミングで質問出来る人と、そうではない人がいます。発達障害の子どもたちは特性上、場の空気やタイミングを読むことが苦手な場合があります。それによる過去の失敗から、どんどん質問することに消極的になり、分からないことがあっても質問できずに、そのままになってしまい、会話や学校の授業についていけなくなるという悪循環を生み出してしまうのです。
私の息子も、先生が忙しく動いていて明らかに話が聴ける状況でないのに、手を挙げて質問しようとしたら、案の定スルーされてしまい、「先生はぼくの話を聴いてくれない!」とすねてしまうことがありました。
こんな風に、ちょっとしたコミュニケーションのずれが原因で、発達障害の子どもたちは、自分のことを責めて自己肯定感が下がり自信を無くしてしまう、相手のことを信頼出来なくなる、ということになってしまいがちなのです。
それを防ぐためにも、「質問する」ということもスキルとして身につけさせてあげることは可能なので、ぜひ習得できるように支援して頂きたいと思います。
「質問する」スキルを身につけさせる方法
1.分からないことは悪いことではないと教える
『聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥』と言われるように、分からないことを分からないままにするよりは、その場では人から多少疎まれたとしても、ちゃんと確認して解決しておくほうが良い。分からないことはちっとも悪いことではないし、分からないことを「分からない」と言える、自分の意思表示がきっちりと出来る人の方が、結果として周囲からの評価も高まるのだということを教えてあげましょう。
2.会話を止める方法を教える
むやみやたらに会話を止めるのは良くないので、タイミングとセットで教えることが大切ですが、その時どんな言葉を使うかも大事。「ちょっとまって」「ごめん!いいかな?」「今質問してもいいですか?」など、どんな表現で会話に入ると良いかを具体的に教えてあげましょう。
3.質問するタイミングを教える
やはり途中でいくら質問したいことが出てきたとしても、会話が盛り上がっているところを割って入るのはベストではないですよね。相手の話が終わった時、会話が途切れた時、先生が自分の近くに来た時、などこれも具体的な場面を想定して教えてあげましょう。
4.家庭における会話の中で都度フィードバックしてあげる
質問のタイミングや言葉遣いが適切だった時は「今のバッチリだね!」と褒めてあげます。適切でなかった時は理由を伝えて待ってもらい、適切なタイミングでしっかりと話を聴いてあげます。あとから話をしても忘れていて話が理解出来なくなってしまうので、都度フィードバックし、感覚をつかむことが出来るようにトレーニングしていきます。決して感情的に叱らないことも大事です。
親も大変だけれど根気よく付き合ってあげてほしい
発達障害の子どもたちは、もしかすると「分からない」ことが多いかもしれません。「分からないなら分からないと言っていいし、どんどん質問していいんだよ」と言ったら、本当に質問の嵐になるかもしれません。同じことを何度も聞かれてイライラしてしまうこともあるかもしれません。
ですが、その時に親がどう対応するのかがとっても大事です。分からないことが多くて、理解にも時間がかかる自分を、親は温かく受け止めてくれて、根気よく質問に答えてくれた、という経験そのものが、その子の生きていくうえでの宝物になるからです。
その温かい経験さえあれば、年齢が上がるにつれて、質問する前にまずは自分で調べてみよう、考えてみよう、ということが前向きに出来るようになっていきます。