発達障害の子どもの思春期以降の支援策7選
発達障害の子どもたちが社会で大きく羽ばたけるように
思春期は子どもが心身ともに劇的に発達する時期です。
発達障害の子どもたちも、やや遅れがみられたとしても、必ずいずれは自立心が芽生えて、自我を確立しようとする時期が訪れます。
周りの様子を察しながら立ち居振る舞ったり、周りから学びとって自分に取り入れるということが苦手なので、
✅周囲との協調のしかた
✅人との距離の取り方
✅自分の得意不得意の理解
これらのことをある程度周囲の大人が手取り足取りサポートしてあげることで、自己肯定感を高い状態に保ちながら思春期を乗り越えることが出来ると、社会に羽ばたいていくのもスムーズになるかと思います。
発達障害の子どもたちの思春期以降の支援ポイント
1. 心身の発達で遅れを感じても親が焦って急かしたり否定したりしないこと
心身の発達には本当に個人差があって、育児本がまったくあてにならないことは、これまでお子さんを育ててこられた皆さんはご存じのとおりですよね。他者と比べ始めたらキリがありません。もはや、だれが標準なのかなんてわかりません。あくまで目の前の我が子が基準。人は進化・成長をしていくもの。お子さんを信じてください。長い目で見守っていきましょう。
2. 出来るようになっていることをおおいに褒めてあげること
小学校高学年となり、中学生となり…そうなると、勉強もどんどん難易度が上がって、親も焦り、そしてお子さん自身もうまくついていけないと自信を無くしてしまいがちになりますよね。
そんなときこそ、出来ないことではなくて、出来るようになっていることに目を向けさせてあげましょう。これも周囲との比較ではなくて、お子さん本人の過去との比較です。
✅一年前と比べたら、机に座っていられる時間が長くなった。
✅作文が3行しか書けなかったけれど、今は10行書ける。
✅字がだいぶキレイに書けるようになってきた。
確実に出来るようになったことや、クオリティが上がったことは増えているはずです。
「大丈夫!本当に君はよくやっているよ!」と声をかけてあげるだけで、お子さんは安心してまた頑張れるのです。
3. 必ずいつかは自立心が芽生えるので甘えたい時には甘えさせてあげること
小学校の低学年くらいまでは良いけれど、高学年になってもくっついて甘えてくる。たまに「抱っこして」なんて言ってきたり。特に男の子にありがちですよね。どうでしょう?
もう抱っこも出来ないくらい体が大きくなっているのに、いいかげんべたべた甘えてこないでよ…なんて思っていませんか?ぜひ、お家にいるときの行為であれば、気が済むまで甘えさせてあげましょう。お子さんにとっては、お家が、お母さんが安全基地。甘えることで外で頑張るための「元気」や「勇気」を充電しているんです。
しっかり充電させてあげましょう。それもあとほんの数年です。親としてその時間を味わい尽くしましょう。いずれは頼み込んでもくっついてはくれなくなりますから。
4. 自分の得意・不得意が理解できるように促してあげ、不得意なことがあっても大丈夫、得意なことを伸ばしていこうと思えるように関わってあげること
なんでもそつなくバランスよく取り組んで、出来るようになってほしい、と無意識に思ってしまっているのは、親の方なんです。これまで自分が育ってきた環境、経験から、得意・不得意の凸凹のない丸が良い、さらに丸が大きければ大きいほど良い、と。
もし我が子の凸凹、得意・不得意のいびつさに悩んでいるならば、そもそも「丸が良い」と思っている自分の価値観と目の前の我が子の状態のギャップから、不安や焦りに繋がっていることに、まずは気づいてほしいのです。
不得意なことに取り組むことほど、苦しいことはありません。それは誰でも同じですよね。
頑張ってもうまく出来なかったら・・・どんどん自己肯定感が下がってしまいます。せっかく得意で意欲を持てていたことにも、自信を持てなくなってしまうかもしれません。
それよりは、得意なこと(興味が持てる、好きである)でまずはどんどん自信をつけて、「ぼくは(私は)これが得意なんだ!好きなんだ!」と言えるものを何か1つ作っておけば、それだけで毎日を楽しく過ごすことが出来ます。自己肯定感が高い状態ならば、年齢が上がるにつれて、少しずつ不得意だったことにも、自分からチャレンジしてみようという気持ちに自然となっていくものなのです。うまく出来なくても、「大丈夫!少しずつでいいんだよ!」とポジティブな声掛けをしてあげて、親の方で不得意・出来ないことに対して、重く考えさせ過ぎない、待ってあげる姿勢を示すことも大切です。
5. 人との距離の取り方について具体的に指示をしながら学ばせてあげること
発達障害のお子さんは、周囲の振舞いを見て、感じ取って、真似をして覚えていく、ということが苦手な場合があるので、出来ないというよりは、本人的に「学んでいないから知らないだけ」だったりすることも結構あります。つまり、ちゃんと教えてあげれば出来る、ということです。
人との距離の取り方って、いちいち事細かには教わりませんよね。なんとなく、成長していく過程の中で自分で経験して、相手から不快な顔をされたら、今のはまずかったなとか、そうやって雰囲気で学んでいくところがあると思います。
その「いちいち事細かには教わらないこと」を教えてあげるイメージです。
声の大きさ、人と話すときの訂正な立ち位置、話しかけるタイミング、などなど・・・
場面場面で具体的に伝えていきましょう。出来ればその場その時がいいです。それもいちいち?!って思うくらいの細かいことまで、教えるつもりで。繰り返していけばだんだん出来るようになるので、親御さんは大変ですけれど、根気よく。お子さんは、出来ないのではなくて、知らないだけ、です。
6. 協調する時には独りよがりにならないように先生や友達に事前に確認や許可を取る必要性を教えてあげること
発達障害のお子さんは、「空気を読む」ことも苦手な場合が多いのですが、周りと協調する際には、まさに「空気を読む」ことが大切になりますよね。
ですが「空気を読む」ということを教えるのは、なかなか難しいので、先生や友達が一緒にいる場面では、必ず「今からこれをします」や「これをやろうと思うけれどいいですか」など、確認や許可を取るように、教えてあげるといいです。そして、「OKだよ」「分かったよ」と言われれば、それに取り組むし、もし「今はこれをやってほしい」などと指示を受けたら、それに従うように教えていきます。
だんだん年齢があがってくると、自分がやりたいことと、相手の指示にずれが生じて、ストレスを抱えることもあるので、さらにそのずれを埋めるための、相手とのやりとりの仕方を教えていきます。
7. 失敗もさせながら、対処の仕方、解決の仕方までセットで教え、自分で乗り越えるためのスキルと経験を積ませてあげること
失敗して自信を無くさせないためにと、先回りしてお膳立てしてしまう親御さんもいらっしゃるのですが、ずっとそれを続けると、自立に向かっていく段階においては、かえって足かせになってしまうかもしれません。
もうある程度は自分で取り組ませて、失敗もさせながら、そのあとの対処の仕方、解決の仕方、気持ちの立て直し方を教えてあげるほうが、自信につながっていきやすくなります。
発達障害のお子さんは、先の見通しが立たないことに不安を覚えます。失敗そのものよりも、そのあとどうすれば良いか分からないことの方が不安なんです。うまくいかなかったとき、自分はどうしたら良いかが分かっていれば、チャレンジもしやすくなるということです。