発達障害の小学生のお困りごと7選
今回は「発達障害の小学生のお困りごと」7選を紹介します。
発達障害と言っても症状や程度、特性は様々なので、もちろんこの限りではないと思います。
ここでは「もう僕は学校に行きたくない」と言った、発達障害グレーゾーンの我が子の「学校に行きたくない理由」、そして約2か月間毎日学校へ行き、登校から下校まで真横で一緒に過ごして、学校生活のどんなことに困っているのか、何がうまく出来ないのかを、実際に諏訪部彩の目で確かめ、体験したことを1つ1つ解説させていただきます。同じように発達障害の小学生のお子さんをお持ちで、接し方をどうしたら良いのかと日々悩まれている親御さんのお役に立てるヒント、お力になれましたら幸いです。
- 口頭指示が理解できない
- 指示されたことを覚えていられない
- 先の見通しが立たないと不安
- 切り替えが出来ない
- 書くことが苦手
- 思い立ったことはその時にやりたい
- 自由度が少ない課題や行動が苦手
1.口頭指示が理解できない
1クラス30人から40人いると、先生が口頭で全体指示を出すことが多いですよね。ほかのことに気がいっていて、そもそも聞いていない、という場合もあるのですが、聞いていないのではなく理解ができていない、ということもあるのです。
これは発達障害に限らず、人の特性として、主に耳から入る情報を認識しやすい「聴覚優位」、主に目から入る情報を認識しやすい「視覚優位」、体に触れる感触で情報を認識しやすい「体感覚優位」というものがあり、人によってどれが優位なのかは異なります。発達障害の場合は得意不得意の凸凹が出やすいので、こういった情報認識においても特徴が表れやすいのかもしれません。
先生が指示した通りに行動できない、という問題がある時は、特性として、口頭指示をスムーズに処理して、理解して、行動に移すというのが、うまく出来ていないのかもしれません。対処としては、先生に指示を視覚で捉えられるよう、低学年であれば絵や図で表してもらったり、高学年であれば、文字で黒板などに書いてもらったりすることをお願いしてみるとよいかと思います。
2.指示されたことを覚えていられない
ワーキングメモリという、一時的な情報を記憶・処理をする機能の働きが弱いことが一つの原因です。なので指示を受けたことを覚えておくことが出来ず、ほかのことに手をつけると前のことは忘れてしまう、といったことが起こります。
この場合も先生に指示は口頭ではなく、黒板などに書いて示してもらうと、何をしていたっけ?という時に確認して思い出すことが出来ますし、同時に複数の指示をしないように配慮をしてもらい、最初の指示→完了、次の指示→完了、という風に1つ1つタスクを完了できるようにしてもらうとよいと思います。
3.先の見通しが立たないと不安
どこに行くの?これから何するの?あとどのくらい?いつまで?などと質問攻めにあうことがあります。先の見通しが立っていないと不安なのですね。発達障害の子どもは特に、曖昧な表現だと理解がしづらいです。
「なんとなく察してよ」「つべこべ言わないでとりあえずやりなよ」は通用しないし、それがお互いのイライラの元になります。「これから○○へ行って○○をするよ」「あと30分かかるよ」「○時○分まで○○をやるよ」と、具体的に示してあげると安心し、集中して取り組んでくれるようになります。
4.切り替えが出来ない
小学生になったとき、我が子の一番の困りごとは「時間割」でした。1時間目は算数。先生の言うことをなんとか理解し、問題を解くのに悪戦苦闘しながらも取り組んでいると、チャイムが鳴り「はい、2時間目は国語ね」と言われる。「あれ?今は算数の問題をやっているのに…」我が子は保育園だったのですが、ある程度好きにのびのびとさせてもらっていたので、小学生になってからは、時間でやることを区切って切り替えるのに苦労していました。
「せっかく頑張って算数をやっていたのに、なんで途中でやめないといけないの?なんで学校はやりたいことをやりたいときにさせてもらえないの?」と、我が子にとっては大きなストレスだったようです。そうはいっても「時間割」で動く、というのは集団生活において大事なことです。本人の意思も大切だけれど、大人になるために必要なことは身につけさせなければ…私もそう考えました。
まずは、ストレスを感じている子どもの気持ちを聞いて、批判するのではなくて、ひたすら受け止めました。先生ともお話をして、どうしても切り替えが出来ない時は、無理をさせないで本人がしたいことをさせる。(でも周りのお友達や先生に迷惑になるようなことはいけないよ、とお約束はしました)
その結果、今はだいぶ適応できるようになりました。生活にも慣れ、情緒面が成長してきたこともあるかと思います。焦らずに、適応できないことを否定せずに、待ってあげることも大事なのかもしれません。
5.書くことが苦手
これには特に個人差があるかと思いますので、1つのケースとして見て頂ければと思います。我が子の場合は、思っていること、考えていることはちゃんとあり、話して表現することは割と出来るのですが、書くことが苦手です。連絡帳に書くことも最初は全く出来ませんでしたし、授業の内容をノートに取ることはいまだにしません。
理由がちゃんとあるんですね。まず1つは面倒だということ。もう1つは、面倒だと思う理由にもなるのですが、書かなくても覚えていられるから。本人が書く必要性を感じていないんだ、ということが分かりました。先の見通しが立たないと、という話にも通じるのですが、周りの子がしているからやらなきゃ、とはならないんですね。
本人にとっての理由や目的がはっきりしないとやらない。こんな特性がある場合があります。連絡帳は、ママが先生からの連絡事項を確認したいから書いてほしい、と伝えて書いてくれるようになりました。ノートについては、本人が必要だと思うまで気長に待とうと思っています。ゲームのコードはメモを持ってきて書いていましたから(笑)。
6.思い立ったことはその時にやりたい
意欲的に授業に参加し答えが分かった!→手を挙げる→指されない→不貞腐れる→やる気をなくす、なんていうことはよくあることです。指されていないのに勝手に答えてしまう、ということもやってしまいがちです。その結果、先生に怒られてますますやる気をなくし、自己肯定感も下がる。
また、起きている間は常に頭の中はフル回転でいろいろなことを考えています。そして、ふと思いつくとその場ですぐに試したくなる。周囲から見ると極めて衝動的な行動に見えますよね。それも授業中に急に違うことをやり出したら、当然先生からもお友達からも注意されます。行動や考え方がアクティブであるがゆえに、集団生活の中においては、はみ出してしまうわけです。
私個人としては、それはとても良いことで、発揮の仕方次第では大きな強みになると考えています。我が子に対しては、集団生活においてルール通りに行動出来なかったり、周りと違う行動を取ったりしたことで、注意され、自己肯定感が下がり、自信をなくしてしまう、ということにならないように気を付けたいと考えています。
本人と『お友達や先生の迷惑になることはしない』という約束をして、先生ともそのことを話し、迷惑になってしまう行為は注意してもらう、それ以外は本人のしたいようにさせてもらう、と決めて、年齢とともに情緒が成長していくことを待ちながら集団生活の中で折り合いのつけ方を学んでもらおうと長い目で見守るように心がけています。
7.自由度が少ない課題や行動が苦手
我が子は漢字の練習が苦手です。繰り返しやる単純な作業がつまらなく、書き順を守ることも納得がいかないようです。最終的に正しい形になっていれば、途中の書き順なんていいじゃないかと考えているようです。
これはあくまで「本人にとって」ですが考え方がとても合理的です。連絡帳も最近ようやく書くようになりましたが、いつも書いてある場所がバラバラなのです。適当にぱっと開いたページに書くのです。ちゃんと書いてあれば別にどこに書こうと良いだろうと考えています。
このように、目的さえ果たせれば、途中のプロセスは自由でいいだろう、自分のやりたいようにしたい、と考えるので、プロセスが大事な場合は、それがなぜ大事なのか、というのを説明します。「相手のことを考える」のも苦手だったりするので、相手がどう思うかを考えることの意味や重要性も説明してあげると、本人も苦痛に感じずに出来るようになっていきます。
周囲がどう思うのかに囚われずに自由な発想が出来るのは素晴らしい長所です。それを損なわないような声掛けを心がけたいと考えています。