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発達障害への理解を深める【3】ー注意欠如・多動症(ADHD)とは

発達障害への理解を深める【3】注意欠如・多動症(ADHD)とはのイメージ画像_株式会社アイトカム_諏訪部彩

癇癪(かんしゃく)、パニック、他害、自己否定、偏食・・・子どもたちのいわゆる「問題行動」は、発達障害による特性に起因しているのもあるのですが、周囲の人間の無理解や誤った対応によって、引き起こされる、あるいは、行動が強化されていく、というケースが多くあるのです。逆を言えば、周囲の人間が発達障害に対する正しい知識を持ち、個々に合った適切な配慮をしてあげることで、発達障害があるとしても、悩みを抱えたり、生きづらさを感じたりすることなく、日常生活を送ることが出来る、ということです。

とどのつまり、子どもと関わる周囲の人間の正しい理解が大事、ということで、「発達障害への理解を深める」というテーマでシリーズ化して書いています。

発達障害と向き合う親が、発達障害に関する正しい知識を知り、『将来子どもが自立し幸せに生活出来るようになる』ことを目指してサポートする、というポジティブなマインドを前提にした視点から、私なりに情報を集めております。

発達障害および各症状の定義については、厚生労働省作成のホームページから引用させていただき、掲載しています。リンクはページの一番下に記載します。

注意欠如・多動症(ADHD)とは

ADHD(注意欠如・多動症)は、「不注意」と「多動・衝動性」を主な特徴とする発達障害の概念のひとつです。ADHDの有病率は報告によって差がありますが、学齢期の小児の3~7%程度と考えられています。ADHDを持つ小児は家庭・学校生活で様々な困難をきたすため、環境や行動への介入や薬物療法が試みられています。ADHDの治療は、人格形成の途上にある子どものこころの発達を支援する上でとても重要です。

ADHDの診断

ADHDを持つ子どもの脳では、前頭葉や線条体と呼ばれる部位のドーパミンという物質の機能障害が想定され、遺伝的要因も関連していると考えられています。

ADHDの診断については、アメリカ精神医学会(APA)のDSM-5(「精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版」)に記述されており、下記などの条件が全て満たされたときにADHDと診断されます。

●ADHDの診断基準

  1. 「不注意(活動に集中できない・気が散りやすい・物をなくしやすい・順序だてて活動に取り組めないなど)」と「多動-衝動性(じっとしていられない・静かに遊べない・待つことが苦手で他人のじゃまをしてしまうなど)」が同程度の年齢の発達水準に比べてより頻繁に強く認められること
  2. 症状のいくつかが12歳以前より認められること
  3. 2つ以上の状況において(家庭、学校、職場、その他の活動中など)障害となっていること
  4. 発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること
  5. その症状が、統合失調症、または他の精神病性障害の経過中に起こるものではなく、他の精神疾患ではうまく説明されないこと

このようにADHDの診断は医師の診察で観察された行動上の特徴に基づいて行われ、それ単独で診断ができるような確立した医学的検査はありません。しかし、一部の神経疾患・身体疾患・虐待・不安定な子育て環境などが子どもにADHDそっくりの症状を引き起こす場合があり、小児科・小児神経科・児童精神科医師による医学的評価は非常に重要です。

ADHDの治療

ADHDを持つ子どもは意識的に症状を予防あるいは軽減しようと試みても困難であり、本人の意図とは別にどうしてもじっとしていられず、学校で必要な持ち物を忘れたり失くしたりしてしまいます。このような失敗行動は、えてして周囲の人たち(たとえば両親や教師)に厳しく叱責されるため、「どんなにがんばってもうまくいかない自分」という否定的な自己イメージを持ちやすく、家庭や学校においてつらい思いをしていることが見受けられます。さらにADHDを持つ子どもは学業不振や対人関係で悩むだけでなく、気分が落ち込んだり、不安感をコントロールできなくなったりなど、こころの症状を合併することもあります。このため子どもがなんらかの困った行動を呈しており、その背景にADHDの特性があると診断される場合には医学的治療が必要です。

ADHDを持つ子どもの治療は「1. 環境への介入」「2. 行動への介入」「3. 薬物療法」などを組み合わせて行うと効果が高いといわれています。

1. 環境への介入

子どもを取り巻く環境を暮らしやすいものにするための介入としては、教室での机の位置や掲示物などを工夫して本人が少しでも集中しやすくなる方法を考える物理的な介入法や、勉強や作業を10~15分など集中できそうな最小単位の時間に区切って行わせる時間的介入法などが有効です。

2. 行動への介入

行動への介入では、子どもの行動のうち、好ましい行動に報酬を与え、減らしたい行動に対しては過剰な叱責をやめて報酬を与えないことで、好ましい行動を増やそうという試みを行います。問題行動を抑制できたことやその頻度が減ることなどにも注目してしっかりと即座に褒めてあげることが重要です。報酬を得点化して一定数になったら何らかの特別なご褒美・行事への参加(映画に行く・博物館に行くなど)につなげるようにします。この行動変容に関して、主として子どもに関わる保護者が学ぶトレーニングが「ペアレントトレーニング」として知られています。また各地で実際に当事者の保護者が活動するペアレントメンターという制度も整ってきています。

3. 薬物療法

メチルフェニデートという薬剤がADHDの不注意・多動-衝動性を軽減する可能性があるとして保険適用されていますが、これは登録された医師や専門医療機関でのみ処方が可能で、薬局の登録も必要です。その他、アトモキセチン、グアンファシン、リスデキサンフェタミンという薬剤も市場に出回っています。

多動症状をただ押さえ込むようなスタンスの治療方針は良い結果を生みません。親の立場から見える子どもの問題と、子ども本人が感じている困難さは同じではない場合が多いようです。家族と専門家・教師の連携はいうまでもなく重要ですが、親子こそがしっかり連携して双方の「言い分」をやり取りできる雰囲気があると、ADHDを持つ子どもはこの障害を乗り越えるのに必要な力を得ることができるでしょう。

ワーキングメモリ(作業記憶)

ワーキングメモリは、考えたり、行動したりする時など、何らかの課題を遂行するために、一時的に記憶を保持したり、使用する脳の機能のことです。ADHD傾向のある方は、ワーキングメモリーの問題を伴うことが多いと言われています。忘れ物、失くし物が多い、先生からの指示をすぐに忘れてしまったり、友達との約束を破ってしまったりする、というような本人の困りごとや人間関係のトラブルにつながる事象は、脳のワーキングメモリがうまく機能していないことが大きな要因であると言われています。

参考サイト 厚生労働省|知ることから始めようみんなのメンタルヘルス総合サイト

参考サイト 発達障害ナビポータル

参考サイト 厚生労働省|eヘルスネット|ASD(ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療)

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