発達障害の子どもに身につけてほしい「謝る」スキル
小さなきっかけからいじめや不登校に発展することが多い
発達障害の二次障害と言われるいじめや不登校のきっかけは、人間関係のトラブル、それも小さなけんかから始まることが多いものです。
ほんのちょっとのすれ違いがあったとき、その場で素直に相手に「ごめんね」と言うことが出来たら、それで済むことが多くあります。
ですから、発達障害の子どもたちには、『自分から素直に謝ることが出来るスキル』として身につけさせてあげるのが、社会の中で上手に生きていくための有効な手段となるのです。
『スキル』と割り切って考えるのも大事なポイント。そもそも場の空気を読むとか、相手の表情や言葉から察することが苦手な場合があるので、それが出来るように子どもに求めるというよりは、パターンとして身につけてもらうようなイメージでいいのです。
「謝る」スキルを身につけさせる方法
1.気持ちを落ち着ける方法を身につける
自分の気持ちが高ぶってカッとなってしまっていると、手が出てしまったり、言う必要のない言葉を言ってしまったり。とても素直に相手に謝るなんて出来るわけがありません。まずは感情的になってしまいそうな自分の心を落ち着ける方法をスキルとして身につけてもらい、最初にそれを実践してもらいます。心で思うだけではなくて、分かりやすく動作を入れていくと取り組みやすくなります。例えば深呼吸する、一時停止ボタン(おでこや鼻、ほっぺを触ってスイッチオフする感じ)を作る、5、6歩歩いて相手から少し離れる、などです。
2.謝り方を身につける
こんな場面ではこんな謝り方と、セリフまで決めてあげても良いと思います。あわせて、言い訳をしない、自分から謝る、相手の悪いところを言わない、など、謝る時の大事な約束事も伝えます。
3.謝る場面を知ってもらう
どんな場面のときに謝るということをした方がいいのか、教えていきます。友達のものを壊してしまったとき、友達のものを失くしたとき、約束をやぶったとき、約束の時間に遅れたとき、ひどいことを言って泣かせてしまったとき、たたいてしまったときなど。出来るだけ具体的なケースを挙げて、セリフとセットにして確認すると良いでしょう。
それでもなかなか自分から謝れない時は?
いま謝る場面だよ?というときなのに、なかなか謝れない。そんなときは、単純に「自分は悪くない」と思っていることがあります。つまり、「謝る」時は、自分が相手に対して悪いことをした、悪いと感じた時だと思っているので、自分が正しいし悪くない、と思っていたら謝ろうとしないのです。
そんなときは、
謝るのは自分のためじゃなくて相手のために謝るのだ
ということを教えてあげましょう。
自分が正しいか、悪くないか、ということはさておいて、相手が気分を害していれば、頭を下げて謝る。言い訳しないで謝る。それが相手との関係を修復して、これから先も良い関係でいるための大事なスキルなのだと教えてあげましょう。
ただ、これはあくまで相手との関係を維持、さらには良くしていくことを目的にしています。自分の意思を主張するまえに、まず相手の気持ちを理解しようと努める姿勢でもあります。
それよりも、自分の考えや意思を貫き通したい!という場面だってあるかもしれません。その時は堂々としていればいいんです。